高まる機関投資家の影響力

投稿日: 2015年8月27日

高まる機関投資家の影響力

執筆:ロバート・プロフセック

2015年7月28日

グローバル資本市場は350兆ドルを超える規模に達する。世界の上位50の資産運用会社の運用資産総額は40兆ドルを超える。世界最大の大規模プライベートエクイティ企業10社は過去5年間で、約2,000億ドル規模の新株予約権を獲得した。その多くは上場を果たし、潜在的な投資家の参加が可能になった。継続的な世界人口の増加や新興市場国の富の増加と相まって、投資資金は引き続き大幅に増加すると思われる。

投資資本が急増していることを受け、コーポレートガバナナンスも大きなパラダイムシフトを迎えている。その結果、すべてのステークホルダーに対して心から責任を果たすべき大手企業の役員会においても、機関投資家の発言力が強まっている。

その原因の一端は、取締役の独立性や、企業経営者に対する報酬支払いに関して株主が物言うことを認める制度など、株主のアクティビズムなどのトピックに関する、最近法制化された要件にある。しかし、エクイティ資本市場の制度化や、機関投資家が長期的な視点からの投資対象セクターの企業へ大口投資する必要性、といった特定の課題は、より根本的な変化の兆しである。本質的には、主要な機関投資家はエクイティ市場を形成しており、投資先企業が業績不振であったり、資本配分がうまくいっていない場合には、株式の売却など、「ウォール・ストリート・ルール」を行使して、行動で意思表示することができない。

この変化は、企業の短期志向を表しているとして、世界各地で冷笑の的となっている。その結果、アクティビスト投資家が怒鳴り込んでこない限り、取締役会は分配金の支払いよりも、長期的な投資を余儀なくされている。しかし、この変化は現実の者であり、後戻りはできない。

投資資本の急増は、取締役会と株主の間の関係のリセットと相まって、長期保有株主の声が適正に評価され、将来的には、取締役会の構成や継承について取締役会と経営陣が主要な株主と連携するような構造へすでに向かっている。彼らは短期的な株主リターンをもとに評価された企業業績が停滞するたびによく見受けられる、疎遠で時として辛辣な間柄となるよりも、幹部の報酬について連携を見せている。

これを実現する道はいくつも存在する。例えば、GEなど一部の巨大企業はいわゆる「株主提案権の強化」を自発的に導入している。これは、長期的な投資を行った大株主に、会社から毎年発送される株主総会招集通知書で取締役を指名することを認めるというものである。

このアプローチは、すべての企業にとって適切であるとは限らず、コーポレートガバナンスにおける機能の転換の前兆となっている。

これ以外の可能性も考えられるが、主要な機関投資家がコーポレートガバナンスのほとんどの問題について、万能型のアプローチは好ましくないことを認めることが不可欠である。GEのような巨大企業にとって適切なものだとしても、業績不振に陥ったり、経営陣がコントロールできない出来事に翻弄される他の大手企業をはじめ、他社にとっては適切なアプローチであるとは限らない。

企業側としては、「自社開発主義」というこれまでの考えを捨て去り、オーナーの声に耳を傾け、意見が対立する場合には建設的な対話を行わなければならない。そうすることにより、2025年における株主と取締役会の間のパラダイムは、対立や委任状争奪戦ではなく、対話と協力となる。米国企業は長期的な投資を行うことができるグローバルな競合他社と肩を並べることができるだろう。