アクティビスト株主に対処する10のヒント

投稿日: 2014年11月25日

アクティビスト株主に対処する10のヒント

執筆:モーリン・ウォルフ(シャロン・メリル・アソシエーツ 社長兼パートナー)

多くの企業にとって、攻勢を強めるアクティビスト株主(モノ言う株主)は、もはや特別な存在ではなく、習慣となっている。その理由のひとつは、ますます多くのヘッジファンドが独立した戦略としてアクティビズムを利用していることである。ヘッジファンド・リサーチによると、アクティビスト・ヘッジファンドの運用資産は2012年の655億米ドルから、2013年には42%増の930億米ドルとなった。

アクティビズムの波は経営幹部や取締役会も飲み込んでいる。アーンストアンドヤングが最近エグゼクティブを対象に実施したキャピタルカンファレンス・バロメーター意識調査によると、10人のうち9人が、株主が提起した問題は取締役会の議題に影響を与え、コスト削減や運営効率が今後12か月における優先課題として認定されていることを認めている。

どう対処すべきかが分からなければ、会社を取り巻くアクティビスト投資家(モノ言う投資家)の危険な兆候は脅威となりかねない。以下に備えるべき10の戦略を紹介する。

1.  会社が標的となるきっかけを知る。

・株価の低迷

・株主の支持が得られない、あるいは株主に理解されない戦略への変更

・株主に還元されない、あるいは利益の向上に使われない資金の存在

・株価の下落にもかかわらず、積極的な自社株の買い戻し計画

・経営陣や取締役の過剰報酬

・業績が振るわない中核事業、業界他社との競争

・不満を抱えた長期保有株主

2.  株主基盤を知る。

・会社の株式を売買している企業を追跡する。

・会議・面談・電話の前に、各投資家との説明機会を開き、経営陣に事前準備させる。

・アクティビストが会社に接触してきたり、業績を発表した瞬間から戦いは始まっている。

・アクティビストが株式の売買に参入した後に、「オオカミの群れ」が出現するのは珍しいことではない。どの会社がすぐそばで株を買う可能性があるのか、連携して動いているかに注意する。

3.  投資家の質問にはすぐに答える。

・アクティビストは株主の関与に対する企業の姿勢や考え方を測定するために、まずIR部に連絡してくることが多い。

・アクティビスト投資家からの経営陣との電話や会談の要請を無視したからといって、追っ払ったことにはならないことを忘れてはならない。

・アクティビスト投資家に対処する。じっくり耳を傾け、質問する。アクティビストの目標、見解、議題について話し合うことで、その計画や戦略が明らかになり、必要な場合、会社は万一の事態に備えることができる。

4.  不満を抱えている投資家を把握し、対話を図る。

・アクティビストは四半期カンファレンスコールを活用して他の「同好の士」を特定し、こうした機会を自分たちに有利になるよう利用している。

・アクティビストは企業の業績に満足がいかない場合、機関投資家、プライベートエクイティ会社などと連携し、会社に対して抗議行動を起こす。会社側は、抗議行動を実際に起こしたのは誰か決して知ることはない。

5.  アクティビスト投資家との話し合いや会合の前に準備をする。

・アクティビスト投資家は企業について詳しく調べて周到な準備をする。中には白書を作成する者もいる。彼らの話に積極的に耳を傾け、新しい視点にオープンであろうと努めること。

・礼儀正しく接し、自己防衛に走らないこと。相手の気分を損ねて、後に抗議文が送りつけられたといった事態を招かないこと。

・会社の戦略やビジョンが相手に充分に理解されているかどうか確認する。

a) 会社の成長

b) 資本配分

c) 現在および将来の価値の源泉

d) 財務運営パフォーマンスの測定基準と目標

e) 一貫した信頼できる透明性のあるメッセージであることを確かめる

6.  優れたコーポレートガバナンスに関しては、積極的であること。

・ISSやグラス・ルイスなどによる毎年の株主議決権の代理行使状況の分析や、議決権の代理行使の推奨内容をレビューする。

a) 対処することが必要かもしれないと認識されたガバナンスリスク。

b) 同業他社と比べた、会社のガバナンスの点数または格付け。

・議決権代理行使助言会社は、取締役には、独立したオープンマインドの候補者を支持する傾向があることを忘れてはならない。

・適切な場合には、会社の取締役会が関与し、時間の経過とともに会社を成長させ、株主価値を創出する正しい戦略を持っていることを積極的に投資家に伝える。

7.  ガバナンスを変更する際は気を付ける。

・コーポレートガバナンスの動向を把握し、会社の規約や方針を定期的に評価することにより、問題を未然に防ぐ。

・アクティビストの関与後に行われるガバナンスの変更は雪だるま式に膨らみ、さらなるアクティビストの攻撃にさらされやすい。

8.  投資家の基盤となる代理権行使のガイドラインを知る。

・機関投資家株主、主要メディア、議決権代理行使助言会社、規制当局をはじめとする投資コミュニティと確固たる関係を築く。

・機関投資家の具体的な議決権ガイドラインや、ガバナンスの推薦に関する代理権行使助言会社の投票履歴を確認する。

・ポートフォリオマネジャーは必ずしも代理権行使に関する意思決定者とは限らない。そのため、組織のコンプライアンスオフィサーと会って運営の提案や方針の変更について話し合い、株主の懸念を特定することが重要である。

9.  委任状争奪戦の回避に向けた妥結点を探る。

・機関投資家(大口株主)は、経営陣が委任状争奪戦のために支出することを望んでおらず、貴重な時間とリソースを無駄にしないよう、両者が早期に妥結点を見出すことを望んでいる。

・企業は自身を守るために、大量の金とリソースを浪費する可能性があることを忘れてはならない。

10.  キャンペーンが一旦開始されたら、業績が最優先事項となる。

・事の発端はガバナンスの問題であったとしても、戦いが始まれば実績がすべてである。

・オープンな姿勢で備えをし、照準を定める。

モーリン・ウォルフは公平開示規制、開示、従業員・経営陣・取締役会向け金融業界対策マンツーマントレーニング等を提供するIR戦略顧問会社シャロン・メリル・アソシエーツの社長兼パートナー。戦略的ビジョンの実行、顧客への高度な戦略アドバイスの提供を主導。過去に全米IR協会の会長および取締役を務めた。現在、全米IR協会のシニアIRラウンドテーブルのメンバー。コーポレートガバナンス、アクティビスト株主対策、委任状争奪戦、CEOの後継者選び、開示事項など重要なコミュニケーション課題について、CEO、CFO、取締役に助言を行い、高い評価を受けている。