CEOの手腕と株価は密接な関係にある

投稿日: 2014年10月7日

グレン・カーチス

事業の方向性を決めるのは最高経営責任者(CEO)ですが、残念なことに極めて重要な存在でありながら、業績以外に投資家がその力量を測るモノサシはありません。とはいえ、投資家がCEOの潜在能力を見極めるポイントとして以下の4つが挙げられます。

1.  経験値 

CEOレベルでは経験値は極めて重要なことです。熟練したCEOは景気循環を何度も経験し、嵐の中で船の舵を取る手腕を備えています。また経験豊富なCEOは業界の変遷も理解し、将来の行く末を予測できます。過去の成功が必ずしも将来の成功を約束するわけではありませんが、CEOの経歴から経営能力をある程度見抜くことは可能であり、将来の成否を占う手掛かりとなるでしょう。

CEOの経歴は会社の委任状勧誘書類で確認できます。業界で要職を歴任して経験を積み上げてきたCEOを投資家は求めるべきです。

また、役員会のメンバーとなるには業界の前進に必要とされる相応の経験や見識を要するため、そのCEOがメンバーであるかどうか確認することも大切です。

熟練したCEO  

熟練した最高責任者の好例のひとつはエリック・シュミットです。サン・マイクロシステムズ(ナスダック:JAVA)のCTO、ノベル(ナスダック:NOVL)のCEOを歴任し、2001年にグーグル(ナスダック:GOOG)のCEOに就任しました。グーグルがシュミットに魅力を感じたのも、テクノロジー企業におけるその数々の経験ゆえであり、グーグルの成功に寄与していることは間違いありません。

2. 熱意 

幹部役員のなかには、形だけの仕事をして、会社への真の熱意も持たずに給料のみを目当てに仕事を引き受けた人もいます。この見せかけのゴールドばかりの中で真のプラチナとは、給料を受け取ることより、とまではいかなくとも給料を受け取ることに対してと同等の熱意や挑戦心を持つCEOです。このような人物が最も望ましいものの、一体どのようにして見いだすことができるでしょうか?

熱意のあるCEOは一般投資家のニーズを注視し、一般投資家そして会社全体に利益をもたらす決断をします。また転職を繰り返すことも少ないのです。

委任状勧誘書類やプレスリリースに記された文面には、課題に立ち向かうCEOの意気込みや意欲が記されており、その熱意を読み取ることができます。投資家の呼びかけに対する反応にもCEOの本音が見え、熱意の度合いを知る手掛かりとなります。前向きで熱意のあるCEOは「機会」、「克服」、「前進」、「探究」などという言葉を使います。そしてもうひとつの鍵は、熱意のあるCEOは自分の話をすることを好む傾向があり、まるで子どものことを喜んで話す親のように投資家を巻き込み意見を交わそうとするということです。

熱意あふれる最高責任者 熱意のある最高責任者といえばジェイミー・ダイモンが挙げられます。アメリカン・エキスプレス(NYSE: AXP)やシティグループ(NYSE: C)での活躍で広く知られ、2005年にはJPモルガン・チェースのCEOに就任しました。インタビューのコメントや行動から、常に仕事のことを考えビジネスに対し真の熱意を持っていることが窺われます。2008年4月のCNBCとのインタビューではJPモルガン・チェースのベアー・スターンズ買収について、買収に伴った膨大な作業や、失業者を抑えるために3日間で完了させなければならなかったデュー・デリジェンスを語っています。その言葉や口調にも明らかな熱意が現れていました。

3.  優れたコミュニケーション能力

仕事におけるコミュニケーションの側面を単に軽視しているCEOも少なくありませんが、これは会社全体にとって好ましいことではありません。会社の運営改善が不可欠であると同時に、投資家、メディア、消費者にとっては有益な変化を理解・認識することが大切なのです。

優れたコミュニケーション能力を有する人物は、どのように売上や利幅を高め、それがいかに収益に影響を与えるかを説明します。また誇らしげな父親が子どもの成績を語るように自社について話すことも忘れません。

コミュニケーション力の高さを知るには会社が発信するプレスリリースが参考となります。リリースが単に四半期の数字を並べるにとどまり、CEOが四半期の業績に影響を与えた要因についての補足説明や、将来の業績予想を示さないのであれば、コュニケーション能力が高いとは言い難いでしょう。反対に投資家の質問に答え、消費者との対話を欠かさないCEOはコミュニケーション能力が高いと判断できるでしょう。

優れたコミュニケーション能力 コミュニケーション力の高さではアップル(ナスダック:AAPL)のスティーブ・ジョブスが良い例となります。大手コンピューター会社の創設者でありながら、iPodやiPhoneの発売時には自らステージに上がり、素人にもわかる言葉で製品の説明・デモンストレーションを行いました。こうした細部への細かな配慮やコミュニケーションにかける高い意欲は、ジョブスの自社製品に対する信頼と、世界にその新たな取り組みを理解し知ってもらいたいという想いを表しています。

 

4. その道における知識者  

CEOは“その道に詳しい”だけではなく“ウォール街に詳しい”ことが肝要です。つまり、会社の日々の経営状況や顧客からの期待、そして収益や将来性に関しアナリストが何を求めているか意識しなくてはなりません。またこうした移り気な人々をなだめ、結果を示し、はっきりと対話していく方法を見つける必要があります。

ウォール街に精通したCEOは、アナリストをファーストネームで呼び(電話会議や投資家ミーティング中に)、質問に対し会社からの一辺倒の返答ではなく個人的に答えるなど、丁寧で温厚な態度で接します。また収益に関しては控え目に約束して大きな成果を出す、という傾向もあります。

アナリストはさまざまな話で投資家や顧客をその気にさせたり気を削いだりと株式取引に影響を与えるため、彼らの要望に応じることが大切です。また企業の資本調達の際にアナリストの力が役立つことがあります。

CEOの精通度を分析するため、最近の公的な場や会議への出席状況を調べます。CEOは会社から出て投資家を訪問しましたか?もしそうであれば、とても積極的なCEO

だと言えるでしょう。またCEOの電話会議への参加やメディアへの登場が多いのはよい兆しで、規模の小さい会社であれば尚更です。

その道での精通度  

2005年以来ウィン・リゾーツス(ナスダック:WYNN)を指揮するスティーブ・ウィンは大変な業界通です。カリスマ性を持ち業界に詳しい ‐‐ この二つを持ち合わせるがゆえに、アナリストは耳を傾けるのです。さらに、知名度が高く多忙でありながら、メディアやウォール街に会社を売り込む機会をめざとく見つけます(ことに新興国市場におけるチャンスについて)。

5. 持続的なイメージ

CEO本人やその人の持つ能力を評価するのは、業績や他の数値では測れない部分が多く容易ではありません。しかし多少調べればそのCEOの内部事情を知ることも可能です。CEOへの理解を深めれば、市場の浮き沈みにかかわらず、その人物があなたの会社や株価の上昇に貢献し得る力を有しているか判断できるようになります。