東京証券取引所における取引時間の延長問題について

投稿日: 2014年9月15日

取引時間延長の検討

日本取引所グループ及び東京証券取引所は、2015年度までの3ヶ年中期経営計画における重点戦略の一つとして、日本株及びその市場に係る魅力度向上を掲げています。その中において、「現物市場の取引時間の拡大」は極めて重要な検討項目として挙げられています。

「現物市場の取引時間の拡大」によって影響を受けるのは、もちろん投資家のみに留まることなく、証券会社を始めとする様々な市場関係者に至るまで多岐にわたることから、市場関係者や学識経験者らによって構成される「現物市場の取引時間拡大に向けた研究会」が立ち上げられ検討が進められています。そこでは主に取引時間が長時間化されることに伴う利点や問題点その他課題が検討されている模様ですが、延長に伴い相対的に多大なコスト負担が生じる大手証券会社等を中心として導入には慎重は声も根強く存在しています。

各国の状況

「現物市場の取引時間の拡大」にあたって、強くその実施が求められるに至ったその背景の一つとして各国の状況を挙げることができます。世界の主要な証券取引所の現物市場において、東京証券取引所の取引時間は相対的に短いというのが現状です。特に、アジアの金融センターからひいては世界の金融センターをも標榜するシンガポールと比べると東京は大きく見劣りをしてしまいます。時差を考慮すると、東京において取引終了時刻を迎えた後も、シンガポールでは更に3時間もの間取引が可能です。そのことは、取引コストといった投資家等の利便性に大きく影響を与え得るものです。

世界各国証券取引所の現物市場における取引時間の現状

国名 証券取引所 取引開始時間

(現地時間)

取引終了時間

(現地時間)

日本 東京 9:00 15:00
シンガポール シンガポール 9:00 17:00
中国 香港 10:00 16:00
中国 上海 9:30 15:30
アメリカ ニューヨーク 9:30 16:00
イギリス ロンドン 8:30 16:30
フランス ユーロネクスト 9:30 17:30

(出所:各証券取引所のウェブサイト)

取引時間が企業に与える影響について

「現物市場の取引時間の拡大」は、もちろん上場企業各社に対しても大きな影響を与えます。上場企業では、適時開示に伴うプレスリリースが証券取引所におけるその日の取引が終了した後の15時から17時ごろに集中する傾向があります。これは、取引時間内に適時開示がなされることで株価が想定以上に乱高下するのを回避する狙いがあるものと思われますが、上場企業の横並び姿勢がその傾向に拍車をかける結果になっているのは否定できません。しかしながら、今後仮に取引終了時間がシンガポール並みに後ろ倒しになったとしても、それに伴って上場企業が一律に開示時刻を一斉に遅くするという対応はマスコミの要請等も関係して取りにくいものと考えられます。グローバルマーケットにおいて情報は瞬時に世界を駆け巡ります。上場企業においてはますますそれに応じた対応が必要になってきます。

SGIM 事務局 ディレクター 三浦慎一