会社法改正とコーポレート・ガバナンス・コード

投稿日: 2014年8月7日

会社法改正について

2013年11月29日に閣議決定され臨時国会へと提出された「会社法の一部を改正する法律案」が、2014年6月20日に法案通り可決成立し、同27日に公布されました。今後はいつ施行されるかが焦点になりますが、2015年4月施行が有力視されています。

2005年に制定された会社法ですが、その当時から「企業統治の在り方」と「親子会社に関する規律等」について更に見直す必要があると言われていました(諮問第九十一号)。今回の改正は、その2つを大きく網羅した言わば集大成として位置付けることができます。

「企業統治の在り方」とはすなわちコーポレート・ガバナンスに係ることとなるわけですが、そこについては大きく2つの改正が予定されています。「監査等委員会設置会社制度」の創設と「社外取締役及び社外監査役に関する規律」の制定です。

「監査等委員会設置会社制度」における大きな特色は、監査役が存在せず企業統治が取締役のみで実施されるということです。取締役3名以上で監査等委員会を構成しますが、その過半数が社外取締役であることが要求されています。従来、外国人投資家から見た日本のコーポレート・ガバナンスの弱点として監査役が取締役会における議決権を持っていないということが長年指摘されてきましたので、ようやくそこがカバーされたものと言うことができます。

もう1つの「社外取締役及び社外監査役に関する規律」の制定については、監査等委員会設置会社以外においては社外取締役の設置が強制はされていません。しかしながら、監査役会設置会社で有価証券報告書の提出義務を負う会社に関しては、社外取締役を設置していない場合には、当該事業年度に関する定時株主総会において「社外取締役を置くことが相当でない理由」を説明しなければならないとされています。これはすなわち、事業報告への記載が必要とされることを意味します。

会社法改正とコーポレート・ガバナンス・コード

2014年6月16日付の当コラムにおいてもご紹介させていただいたように、2014年4月に発表された「日本再生ビジョン」において、コーポレート・ガバナンス・コードの制定が提言されています。東京証券取引所が具体的なコーポレート・ガバナンス・コードを2015年の株主総会シーズンに間に合うように制定するとともに、東証上場規則もそれに合わせて改定するよう東京証券取引所に金融庁から要請することとされています。

コーポレート・ガバナンス・コードのキーワードは「Comply or Explain(遵守せよ、さもなければきちんと説明せよ)」です。そういった意味において、今回の会社法改正における大きな目玉の一つである「社外取締役及び社外監査役に関する規律」の制定は、この方式に即したものであるということができます。杓子定規に規制を強制するのではなく、「それぞれの事情に合わせてきちんと説明すること」に主眼が置かれています。

 投資家と企業の関係に与える影響

会社法改正やコーポレート・ガバナンス・コードの制定といった一連の流れは、基本的には投資家と企業の関係に良い影響を与えるのではないかと考えられます。一概に規制を強制してしまうことで、あるいは逆にその規制の形骸化を招いてしまうこともあり得ます。むしろそうではなく、「Comply or Explain(遵守せよ、さもなければきちんと説明せよ)」として一定の基準を設け、そこに到達しない個別の事情がある場合にはその旨をきちんと説明し理解を求めるという方がより実効性のある規制になると考えられます。ただし、開示の仕方は各企業の裁量に任せられる部分も大きいことから今まで以上に企業ごとの姿勢が問われてくると言えます。

 SGIM 事務局 ディレクター 三浦慎一郎

参考元

新日本監査法人HP「会社法改正法案の概要

自由民主党HP「日本経済再生本部 日本再生ビジョン」

戦略的グローバルIR協会HP「コーポレート・ガバナンス・コードについて」