ますます高まりを見せる英文開示の必要性

投稿日: 2014年7月14日

上場企業における英文開示の状況

第2次安倍内閣が推進するいわゆるアベノミクスと呼ばれる一連の経済政策の中で、大胆な金融政策、機動的な財政政策及び民間投資を喚起する成長戦略の3つを「三本の矢」と呼び、安倍首相自らの強いリーダーシップの元でそれを推進しています。
その中で特に大胆な金融政策の影響によって、日本の株式市場は大きく株高の方向に振れることとなりました。更に、円安等による業績の回復によって外国人投資家から見た日本企業の魅力が増していることもあり、2014年3月末時点では約3分の2の上場企業において外国人持株比率が上昇し、輸出関連銘柄や内需関連銘柄といった幅広い日本企業において外国人持株比率が過去最高となりました。

そうしたことを背景に企業の英文開示の実施に向けた姿勢は積極さを増しており、東証1部上場企業において決算短信の英訳を実施している企業は47%、招集通知の英訳を実施している企業は23%と極めて高い割合(いずれも2013年)にのぼっています。今後もその割合は高まっていくことが予想されますし、英文化する資料の幅も拡がっていくことが見込まれます。

JPX日経インデックス400の選定基準と英文開示

日本取引所グループ、東京証券取引所及び日本経済新聞社は、新たな株価指数であるJPX日経インデックス400の算出を2014年1月6日より開始しました。JPX日経インデックス400は、資本の効率活用や投資者を意識した経営観点といったよりグローバルな基準を意識した「投資者にとって投資魅力の高い会社」で構成されています。
その選定方法は、大まかに言えば定量的なものと定性的なものに分けられます。ROE、営業利益及び時価総額といった定量的指標によるスコアリングを行い、そこにいくつかの定性的要素による加点を行います。その定性的要素の中で、独立社外取締役の選任やIFRSの採用と並んで取り上げられているのが決算情報英文資料のTDnetを通じた開示です。こうした基準への採用によって、ますます英文開示の重要性は広く認識されるようになると思われます。

英文開示を行う上での留意点

英文開示を行っていくうえで留意すべき点の1つは、その継続性です。言うまでもないことですが、いったん英文開示を開始した以上は、業績の良し悪しに拘らずそれを継続しなくてはなりません。また、単に実施するだけではなく常に同じ基準で行う必要があります。更に、日本語で開示資料を作成する時と全く同じように、言葉の選び方1つをとっても慎重に行う必要があります。同じ
日本語に対応する英語を、以前の開示資料から安易に変更することによって、それを見た投資家に対して何らかの作為を感じさせてしまうことすらあり得ます。外国人投資家からの注目度が増し、英文開示の重要性がますます高まってきている状況だからこそ、その実施は慎重に行っていく必要があると言えます。
また、日本語と英語による情報開示をできるだけ時差のない形で情報発信することも重要となってまいります。外国人投資家の保有率が最も高くなった今、日本語と英語によるタイムリーディスクロジャーの必要性は高まってきております。
SGIMでは、その専門性と研究実績の提供によって日本企業の英文開示の推進に貢献してまいります。

SGIM 事務局 ディレクター 三浦慎一郎

参考元
日本財務翻訳株式会社HP「財翻リリース:2013年英文開示市場概況」
東京証券取引所HP「 JPX日経インデックス400」